佐伯チズ客員教授による第3回特別講義を行いました
10月31日(木)、佐伯チズ客員教授によるキャリアデザイン特別講義「Self-Making, Self-Planning」の第3回講義をおこないました。
第3回のテーマは「Express your Mind:思うことを表現する」。第2回に引き続いての授業では、視覚?聴覚?味覚?嗅覚?触覚という五感を育むという観点から、より実践的な自己表現のトレーニングが始まりました。
「人間の五感には衰退期があります。」という衝撃的な言葉とともに、佐伯客員教授は黒板にこう書きました。
五感の半減期
視覚 13歳から始まる。
聴覚 15歳
嗅覚 22歳
味覚 29歳
触覚 60歳
ふだん、私たちは自分の五感の衰えなど考えもしませんが、体力が衰えるのと同じように私たちの感覚は衰えていくのです。ですから、芸術系大学で学ぶ私 たちは、よりいっそう自分の五感を磨きあげていかなければなりません。また、自分が五感のなかでとくにどの分野が優れているのか、自分自身を見定めていくことも大切です。
佐伯客員教授は、第2回の授業で課題としたプロフィールを提出させたのち、その一枚一枚をていねいに見ながら「──さんは──県の出身ですか。では、特産物は何?名所は?ほかに自慢できることは?」と、学生たちに次々に質問を投げかけます。プロフィールは自己ピーアールだから自分のことだけ書いておけばよい、などとのんびりとかまえていた学生たちは、自分と地元との関係を問われて、自分自身が社会とつながっていることを再認識しました。自分と社会とのつながりを鋭敏な五感で常に感じ取ること、これは芸術系大学で学ぶ学生にとって重要なことです。
佐伯客員教授が尊敬している方のひとり、白州正子氏の著書『ほんものの生活』を例に挙げて、自分自身をつくりあげていくことの重要さを語りました。「どうすれば、ものがわかりますか?目利きとはどういう人のことですか?」白州正子氏の著書には、他人に聞いてばかりではだめだ、自分で身銭を切って購入し、長い間それと向かいあっていかなければならない、と記されていました。自分自身で作品と向かいあっていくことが、造形活動ではもっとも重要なことだと佐伯客員教授は言います。
また、TED(Technology Entertainment Design)に登場した高校生を例に挙げ、自分自身で考え抜いたことであれば、何も見なくても、たくさんの人の前で堂々とスピーチすることができる、自分をアピールするプレゼンテーションのときに必要なことは、自分自身で考え、結論を導き出したという自信なのだ、とも言いました。
最後に、話すときの目的と障害となることをまとめとして列挙し、第3回の授業は終わりました。第1回の授業に比べて内容はますます実践的になり、受講した学生たちは授業終了後も佐伯客員教授の周囲に残り、次々に質問をするなど、たいへん充実したものとなりました。
次回のテーマは「Think about Others:聞き手について考える」(11/18/木)。在校生のみなさん、次回もふるって受講しましょう。